issue-17

何にだって初期衝動と言う何処か無敵のビギナーズラックに似たような物が存在すると思う。その衝動は実に本能的で綺麗な物だ。

 

スタジオバイトで引き継ぎの時、最近の音楽の話をした。その人はラッパーで昔から同じマインドを一貫して言葉にして歌っている。カッコいい人間だ。おれは全くラップ、ヒップホップのカルチャーを知らない。おれはロック畑出身だから。

 

外のライブハウスに出始めた頃、ADPは信じられない程に破茶滅茶だった。BPMは毎回崩れ、和音は崩壊し、喉は潰れ、しまいにマイクを振り回しメンバーに当たったり、バスドラの上に飛び乗ってドラムセットを壊したり。でも、あの瞬間はとっても綺麗だった。とても澄んでいた。ライブバンドの追い求めるモノはその一瞬、一瞬に訪れる綺麗な瞬間なのだろう。個人的に一番好きな瞬間はシャウトする時だったかも知れない。それも予定していなかった"衝動的"に自然と出てくるやつ。ロックバンドが繰り出すシャウトと言うサウンド的カルチャーはポケモンでいうとこのギャラドスの破壊光線で、それだけでそのバンドがロックバンドなんだと証明してくれるものである気がした。まぁ、ギャラドスの破壊光線とそれは関係ないけどね。なんとなく、シャウト=ギャラドスの破壊光線っていうイメージね。

 

最近の流行りの音楽、売れる音楽は好みじゃ無い。科学者の僕たち理論武装しました、はい論破。みたいな、はい、これが売れ線でしょ。好きなんでしょ。みたいな思想が丸見えな音楽を好きにはなれない。その人たちだって初めからそうだった訳じゃ無かったはずだ。初期衝動が燃え尽きてしまった時、そっちに流れてしまうのだろうか。NIRVANAは大衆向けに作った2ndアルバム"NEVERMIND"が売れすぎて自分がやりたい音楽ではなく、売れる音楽を作ることに葛藤し、その後カートは死んだ。

 

最近UKロックも好きだ。特にArctic Monkeysとか。コミカルでシニカルでクールで、やけどどことなくダサい。そんな部分が好きだ。USではFall Out Boyが近いかも知れない。でもやっぱアクティクはイギリス的やし、フォーアウトボーイはアメリカを感じられる。どっちもちょっとだけダサい。ちなみにArabian Desert Push-upっていうバンド名にしたのはただカッコいいだけじゃなくてどこかダサい感じが欲しくてあのバンド名にした。今でも超お気に入り。US,UKバンドの話に戻そう。両者から地域性の違いが感じられるファッションも面白い。シカゴに住むニホンオタクのデイビットはまさしくFOBのボーカルみたいなファッションセンスをしていた。ブリティッシュバンドが何故かハイセンスなのはファッション面もあるかもしれない。UKは言葉で表すのは難しいけどお洒落なおっさんが多くて、USバンドのイメージはTシャツにジーンズ。で無邪気なボーイズ達。おれはUSカルチャーに触れてきたから、いつしかジーンズが似合うようになって逆にUKみたいなお洒落な雰囲気を出すことが出来なくなった。最近ロンドンのファッションポートレートとかを見ていてこっちもカッコいいな〜と思う。プーマブルーもサウスロンドン出身で最近頻繁に聞くが、オシャレすぎて聞いてるとちょっとソワソワして、ちん毛がパンツからはみ出てる気がする。

 

今はスタジオでFOBの"The Take Over, The Breaks Over"を隣のタンタン麺屋にも聞こえるほどの大音量で流してみんなで踊っている。

 

次はArctic Monkeysの"Brainstorm"を大音量で流して踊ってやろう。と決めた。