issue-15

即位礼正殿の儀のなんたらの日にリコちゃんと久しぶりのデートに伊勢神宮に行った。その前の日はとても雨が降って明日は雨かなと言っていた。でも蓋を開けてみれば晴天だった。

 

最近は、というより普段から二人でデートにはあんまり行く方じゃない。ダラダラ一緒にしてる方がリコちゃんは性にあってるらしい。おれも最近はそっち側かと思っていたが、どうやらそうではないらしい。やはり外に出るのは気分が良いし、出かけて遠くに行くのは好きだ。根本的にドライブが好きなのかもしれない。ドライブの時間は好きな音楽を探せる時間で無になれる時間でもある。

 

伊勢まではリコちゃんの家から2時間ほどだった。名阪国道から伊勢までの間先月かもっと前に音響の仕事でハイエースで走ったのを思い出した。あの時は一人で今よりも長く走った気分だった。

 

伊勢に行く理由はリコちゃんが伊勢海老を食べたいと言ったからだった。ん?確かそうだったと思う。

 

伊勢について1番端っこにあるワンデイ500円のパーキングに車を停めるとおっちゃんが今日は天皇が来るはずだったやら何とか言っていた。

 

道に出て歩いていくとリコは何かを見つけたらしい。牡蠣だ。リコは牡蠣が大好きだ。すぐにその店に入って特大の生牡蠣をポン酢で。と焼き牡蠣を頼んだ。リコちゃんは生だった。おれは生が恐くて焼きにしておいた。生の方が先に来て、てるちゃんの来るまで待ってから食べるねと言っていたが横を見るともう食べていた。食べた瞬間に海だ〜みたいなことを言っていた。焼き牡蠣も来て食べると海が広がった。あぁ、おれの夏はまだ終わってなかったのか。まだ海の中にいるんだ。そう感じた。季節が矛盾した。牡蠣は冬の食べ物だから。

 

その店を出たあと、おかげ横丁にしばらくして入った。入ってすぐ見つけた横丁そばを食べた。普通の具なしそばを頼んだ。聖心時代のかけラーメンを思い出したからだった。でも、出てきてすぐに冷やしの方を頼めば良かったと後悔した。何故ならそれのほうが特別感があって、頼んで出てきた具なしそばは本当にあのかけラーメンだったからだ。そのあと、きゅうりを食べビールを呑み松坂牛の握りを食べぶらぶらした。

 

射的の周りに人だかりが出来ていて、二人もやる事にした。こういうときおれはやらない派だったが実はめっちゃやりたかった。小さい時に家族で行った旅行の時にしたぶりだった。リコからやって三振空振りだった。そうきたらこっちは肩の荷が軽い。おれは一発目からペコちゃんの顔が書かれたミルキーをヘッドショットし、ジューCのグレープ味もキルした。一発で二人分やってやった。幸先はベストのスタートだ、これはいけるぞと思った。だてに21歳までの間に小2のエアーガンから始まりハワイ、グアムで実銃訓練までこなして来た訳じゃない。しかし、敵は弾だった。コルク弾は弾の形がどれも歪で完璧に狙えているはずなのに縦に落ちるスライダーやまるでドロップカーブのように変化し残りの3発全て散発した。そこで初めて射的の難しさを知った。リコちゃんは残念賞のうまい棒を貰っていた。

 

そのあと天むすを食べた。おにぎり界最強は天むすだと思う。それか徳島のちびっこのママがつくった生ハムおにぎり。

 

そしていよいよクライマックスの伊勢海老を食べに行った。4000円くらいかと思っていたら小は4000円だった。しかし特大は13,000円で大が8,000円。少し迷って大にした。特大はリコちゃんがバレリーナ時代に食べた時食べきれない大きさだったと言っていたからなのと単純に高すぎた。けど、大が来てペロッと食べて直ぐに特大にしても良かったなと思った。次は特大をリベンジだ。

 

そのあとせんべいを買った、七味味とぬれおかき。ぬれおかきは想像を絶する不味さで七味せんべいはまー、美味しくなかった。

 

それから川を見つけて休憩して水切りをした。その日のおれの水切りはプロ級でどれも力が有り余って向こう岸まで辿り着いていた。

それで川の流れに沿って長い距離を飛ばそうと全力で投球した。すると、意に反して湾を描くようにお姉さんたちがたむろする岸辺に不時着した。その間約一秒。お姉さんたちと目が合う。イッタ。みたいな顔をしてこっちを見ているのが分かった。瞬時に脳内に二択のテロップが出ておれは大丈夫ですか〜〜〜?とイッタ。こっちも痛かった。そのあと謝りに行くとマーチンのアウトソールに直撃だったそうでなんとか怪我はしなかったようだ。良かった胸を撫で下ろした。

 

小4のときアオピと櫻井と石を投げて一個上のゴリラみたいな女の子の頭にヘッドショットをかましたのを思い出した。あの人を今でもたまに駅で見かける。その度にあの時投げたんおれやねんな〜って思っていた。絶対にごめんなさい。は言えたほうが良い。それは自分のためでもある。ごめんなさいを言ってもらえてない人より言ってない自分の方がダメージがデカくなっていく可能性の方が高いと思う。

 

そんなことを思っているとお姉さんが歩き出して帰っていった。リコちゃんが"ほら言ったがん〜やめなよ〜って"と言っていた。反省して伊勢うどんを食べにいった。伊勢うどんをおそらく初めて食べたリコちゃんは麺ふやけ過ぎじゃない?って言っていた。違う、そういうものだ。食べ終わってその店のトイレに行った。トイレは男女共通でションベン用の便器3発と洋式トイレが3発あった。洋式トイレはめっちゃ狭かった。自分のしょんべんが終わって、リコちゃんを待っていたらそのトイレの鍵がコインで開けれるやつだったので開けたら"キャーーー"と言われた。

 

こんなとこでやらんで!!と怒っていた。いや、別に普段しているわけじゃないよ。

 

そのあと参拝して赤福を買って帰った。充実したデートだった。

 

今はロストエイジのSFを聞いている。