issue-101

今散歩をした、約1時間。少し冷たい風が髪に纏わりつくのが気持ちいい。橋を歩き海を越えた。

 

"HIGH WAY BEACH"は清水エイスケの造語である。清水エイスケと元ARSKNのボーカル、RY0N4(リョウナ)は同じ高校出身であり、RY0N4は一つ下の後輩だ。

 

ちなみにオーラルの山中拓也と清水エイスケも同じ高校で清水エイスケのほうが一つ下だ。その二人は同じマンションで住んでてバイト先の寿司屋も同じだったらしい。

 

Heavenのメンバーでもある二人は仲がよく、高速道路の近くに家があるRY0N4の家で楽曲制作をしていたところ、午前3時になるとふと高速道路から聞こえる車の走る音が"波の音"に聞こえたことから、あの"HIGH WAY BEACH"が生まれたそうで同PVの冒頭、助手席でタバコを吸っている青い髪の人がRY0N4である。他にもHeavenのメンバーであるLil Soft Tennisの"Skrr Skrr to Babylone"にも二人は出演している。ちなみに清水エイスケが吸っているタバコはアメスピメンソールライトだ。

 

 

改めてAge Factoryを考えると歌詞が良い。1st EPである手を振るに収録されている、"Green Green"は間違いなく、昨日見た村上龍の69に影響されている。歌い出しの"想像力がさ、僕らの武器でしょ"という詩は69の中で学校の屋上から"想像力が権力を奪う"とかかれた垂幕が書かれているシーンと主人公ケンの思想から来ているものだろう。あと清水エイスケのリリックで見る特徴は同じ言葉の繰り返しで、カードコバーンと似ているところもあると言える。

 

今作のアルバムには歴代の歌の詩がちょくちょく出て繋がっている。"Merry go round"の"流れてたままのエンドロール"は"ロードショー"の"エンドロールが流れないように"の続きを含ませる書き方だし、"Everynight"の"非常階段登って、君を探して、白い息と声を掻き消すサイレン"はTONBO"と同じ"終わりを知らせるサイレン"かもしれないし、それは夕方5時のサイレンかもしれない。"星に祈ってた夜"は星に願いを込めていた"see you in my dream"のことだろう。

手を振る"Peace"は彼らの1st EPの「手を振る」が散りばめられているし、"kill me"の静けさと共に潰していくイエローは勿論LOVEの沈むYellowだ。でも、"Yellow"では終わりそうな世界と言い表していたのが、"kill me"では素晴らしい世界を想像している。

 

 

RAD、野田洋次郎の歌にも色んな"続き"が存在している。その歌の延長線上にある歌はストーリーがあって面白いとも思う。

 

 

エイジが吸収している音楽は色々あるのは勿論だが、ハードコアな部分、例えば"Clean up"などはMETZやBlack Flagから来ていると思う。シングル曲の"天邪鬼"はモロにThe Goo Goo Dollsの"Ain't that unusual"からインスパイアを受けているだろう。何よりUS オルタナの系譜を受け継いでいるところもLostageと同じくカッコいい。US オルタナを日本人が昇華させる瞬間は見ていてワクワクする。ワクワクで思い出したが、エイジの"puke"と"金木犀"を聞いた瞬間はゾワゾワした。

 

 

 

 

今作のエボリューションとも言える変化はレーベルがスペースシャワーからUKプロジェクトに移籍したのも大きいかもしれない。"nothing anymore"でコーラスを担当した佐藤千亜妃がボーカルを務めていたきのこ帝国もUKPで、現在エイジを担当しているレーベルの人は昔、きのこ帝国を担当していた人だったらしく、今作のアルバムは富士山の見える山中湖の近くのレコーディングスタジオで作成され、そこはかつてきのこ帝国も使っていたスタジオだったらしい。その場所でもう一度レコーディングをした佐藤千亜妃にとってもエモい瞬間だったことだろう。

 

ブッチャーズのボーカルが死んでから3年が経つ日にロードショーのPVは公開されていてその時清水エイスケが使っている黒いテレキャスターは、ロストエイジのゴミさんがブッチャーズのボーカルに"お前にはこのギターがあう"と言って渡されたギターだったらしい。ちなみにブッチャーズとロストエイジ、さらにアジカンは盟友だ。

 

ロックバンドには色んな繋がりと奇跡が垣間見れる瞬間がある。だから美しいと思う。