issue-48

正直まだ2020年になった感覚はない、それでもツイタチぶりに電車に乗るともう新年が始まって学校帰りの高校生や仕事終わりのサラリーマンがつり革を掴んでいた。

 

蒜山に着いたあたりで少し休憩をした。理由は早く着きすぎてしまったのとカラダを休めたかったからだ。その頃霙が降ったり止んだりを繰り返していて、たまに雲の隙間から見える大山か何かは分からない山の頂上にはしっかり雪が積もっていた。蒜山のSAの喫煙所は少し変わった形をしている。そこで一本吸おうと思って"Lady Luck"と書かれたZippoの火を点けようとしたら火花が出ず着火出来ない。何がレディラックやねんと思って"lady lack"に変えようかとも思った。火花が出ない原因はどうやらもうフリントが無くなったかららしい。留学中の頃はこのZippoを基本使っていてその頃からフリントは一度も変えずにいた。ちなみにフリントとは発火石のことでこれは永久的なものではない。とりあえず横のおじさんにライターを借りてどうにか一本吸うことが出来た。車の中には沢山ライターがどこかにはあるが駐車場まで帰って喫煙所まで行くと多分5分くらいかかるのでおじさんに借りることができてluckyだった。

 

そのあと米子に向かって走るとものの30分少々で着き、雪も無く安全に到着することが出来た。

 

たった1週間ちょっとぶりにあった莉子はもうしばらく会っていないくらいの感覚で、でもさっきまで一緒にいた様な変な感じで言葉で表すには難しかった。その日の晩はカッパでご飯を食べた。前回と同じダイコンの突き出しが出て、そこから温玉ベーコンサラダ、山かけまぐろ漬け、こっちでは滅多に見ない黒むつの焼き魚、のんちゃんがミディアムレアってなに〜?と言いながら焼いてくれた大山黒牛?のステーキ、定番のしじみ汁とブリハムに大盛りのご飯、さらには豚汁を、店内は忙しそうだったのにも関わらずテンポ良く頂いて一瞬テーブルの上が料理でパンパンだった。すべて美味しかったが今回一番うまい!と思ったのは黒むつだ。そしてブリハムはどんだけコイツは魚出身だと思いながら食べてもそれっぽさを感じられなかった。風邪をひいていて鼻が効かなかったからなのかも知れないので引き続き調査をしたいと思う。

 

 

今回のカッパで爆笑したのは、まゆさんのオーマイジーと大将のやってしまった!と言いながら額に手を当て、ホントにびっくりした目だ。まゆさんのオーマイジーの経緯は何かをゴミ箱に捨てた時に入らなくてオーマイガーが出た。それから何かの呪文のコンボの様にリズミカルにオーマイガッ!オーマイゴッ!と連発し、最後にオーマイジーが出てきた。最後のオーマイジーが出る前にほんの数秒止まっていたのでその空白がよりアクセントになって一気に爆笑まで持っていかれた。咳のし過ぎで腹筋が筋肉痛になっていたし、笑うと咳が出たので大ダーメージを負った。大将の漫画の中でしか見られない様なやってしまった!のあの表現は確か、閉店間際にお客さんに丼系のモノを頼まれ最後つくれるかつくれないかの瀬戸際で用意に取りかかると"あっ!やってしまった!。。。"と言ってそのポーズを取り、ご飯に酢をかけてしまったに。と言っていた、まゆさんがすみません〜って言ってきて〜とのんちゃんに頼んでそんなに大事にもなってもいないのに、いや違うに自然と酢をかけてしまったに、酢飯にしてしまったにと誰も気にしていないのにそう悔やんでいる所にとても良い人像が滲み出ていた。

 

その日の莉子の賄いがお寿司だったのを見て密かに大将は初めからお寿司を食べさせたくて自然と酢飯にしてしまったのかな?と考えると余計に良い人だなあと感じた。それが真実かどうかは別として大将はとても良い人だ。自分のお代も、あんだけ沢山の量と美味しいモノを食べさせて貰ったのに二千円で良いよ!と言ってくれた。次にカッパに行った時に大将に渡したいお土産が自分の中で決まったので早く行って渡したい。

 

 

大将には色んな伝説があるらしい。その一つは小学生時代に体力測定で叩き出した5分間懸垂での200回という記録だ。そのバックグラウンドには小学生の頃にお年玉を貯めて買った少年ジャンプの最後のページに筋トレグッズ枠で紹介されているアームレスリングマシンで修行した背景や小学生の野球とは思えないようなスパルタ練習で培った体力と負けん気がある。他にも色んな伝説を聞いたが書き始めるとキリがないのでこの辺でピリオドを撃ちたいと思う。

 

 

lostageのあめんぼを聞きながら寒い路地裏で彼女の帰りを待ちはじめる。案外早く着きそうなのでラッキーだ。しかし、住民の視線がイタイ。